「ねぇ、なんで三上君と別れないの?」

「なんで別れなきゃいけないの?」

「だって、だって噂聞いたことないわけじゃないでしょ?
 こんなにひどい目にあってるんだよ?」


そう、この子が言うように亮の噂は絶えない。
一応私が亮の正式な彼女と言う事になっているから浮気をしていると言う事になっているけれど、もしかしたらその子の方が亮と親しい関係かも知れない。
本当に亮が好きなのは他の子なのかもしれない。
まぁ、噂を聞くと浮気相手は一人じゃなくて複数いるようだけれど。


「別に、あくまで噂だけかもしれないじゃん。」

「浮気に関してはそうかもしれないよ?
 でも、がされてる事はあんたが誰よりも知ってるはずだよ。
 もう、見てられないよ…。」

「ありがとう…。でもね、大丈夫だよ。」


確かに私は一般的に見れば可哀想な子なのかもしれない。
もしくは、愚かな女だと思われているかもしれない。
違う男と親しそうに話をしていただけで怒鳴られる。
ひどいときにはそれ以上の事をされるときだってある。
それに加えて、亮は多くの子に人気がある。
そのせいで妬まれたり、嫌がらせを受けてきた。
何であんな子が…と陰で言われることは当然ながら、時には外傷を伴うような場合もあった。
亮と付き合うようになってから友達が減ったような気がする。
まぁ、そんな事で離れていくような子たちの事を本当に友達と呼べたのかという事は謎だけど。
今ではこのおかげで本当に自分にとって大切な人がわかったから、かえって良かったのではないかと考えられるようになった。
少し話がずれてしまったが、それに加えて亮の浮気疑惑の浮上。
これだけの要素が揃えば十分不幸の真っただ中にいる人のように見られるだろう。


…。
 こんな言い方ひどいかもしれないけどね、あんたが三上君に持ってるものはただの情だよ。
 そのまま一緒にいてもお互いのためにならないよ。
 三上君だって、苦しんでるはずだよ。」


「うん、わかってるよ…。」


自分と亮の関係を知っている人は殆どの人が口をそろえてそういう。
お互いのためにならない。
もとは優しい人だから…こんな関係しか築けないことに誰よりも苦しんでいるんだってこともよくわかる。


「だったら…。」


そういう彼女の言葉を私は遮る。

だって、

それでも、私は…


「あいつのそんな所も含めて愛しちゃってますから。」


結局は、私が手放したくないだけなんだ…
亮が苦しんでるのを知っていて、でも、亮から別れを切り出せないのを知っていて、それを利用している私。
本当に可哀想で、苦しいのは誰なんだろうね。
本当に酷くて、ずるくて、傷つけているのは誰なんだろうね。
ごめんね、亮…
私の愛を受け止めてくれる、愛しい君。









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+++あとがき+++
結構前に書いたものをUPさせていただきました。

好きってなんでしょうね。
最近、友達とそんな話ばかりしています。
私は色んな形があっていいと思うんですけどね…。
付き合い方も人それぞれ。
もう、子どもじゃないんだし、他人に迷惑さえかけなきゃ別にどんな関係でもいいと思う。
この小説の場合は浮気しちゃってる段階で、迷惑かけてるからどうなんだって感じなんですけどね^^;

自分だったら、どうせするなら楽しい恋愛がいいし、幸せになりたいです。
ただ、その考えを人に押し付ける事はしたくない。
そうじゃない人を否定するような事はしたくない。
こんな関係人には言えない、相手に対する考え方が人と違う…って悩んでいる人がいたらどんな関係でもいいじゃないかって伝えたいな。


2011/11/24