「お兄ちゃん…、今までお世話になりました。私、幸せになるね。」

「え?お前何言ってるんだ?」

「何言ってるのよ、お兄ちゃん。今日、私の結婚式だよ?」

「け、結婚?!何言ってるんだよ?!!だいたい相手は誰だよ?」

「何言ってるの?は一馬の方でしょ?あ、義兄さんって呼んだ方がいいかな?」

「え、英士?!!」

「それじゃあ、行こうか!僕たちの愛の巣へ!!!」

「う、う、嘘だろ〜〜!!!?」






ゴンッ


「っつ〜〜〜。」


今日は目覚めの悪い夢を見た。
久し振りに練習が休みでゆっくり寝れると思っていたのにすっかり目も覚めてしまった。
もう一度寝るにもまた、あの悪夢を見てしまう気がして寝る勇気もなかったし。
仕方がないから休日にしては少し早目に起き、朝食をとる事にした。




「あ、お兄ちゃん。おはよう!どうしたの?いつもより早いね。」


さっきあんな夢を見たせいだろうか。
どうしても、への視線がおかしなものになってしまう。


「…夢、だったんだよな。いや、ちょっといつもより早く目が覚めてさ。こそいつもより早くないか?」

「??なんと、今日は英士君とデートなのです!」

「ぶっっ!!」

「汚いな、噴かないでよ。」

「わ、わりぃ。それより今日英士とデートなのか?」

「うん、そうだよ〜。久しぶりに練習がないから一緒に遊ぼうって誘ってくれたの。」


はすごく嬉しそうに笑う。
こういう無邪気な笑顔を見ていると本当に英士の事が好きなんだなぁって思う。
俺がと英士が付き合う事をあまりよく思ってないって知ったらきっと傷つくだろう。
が傷つくのを見るのも嫌だし、こんなに幸せそうなを見てると少しは応援してやってもいいかもなって思た。


ピンポーン


我が家のインターホンが鳴る。


「あ、英士君かな?は〜い、今行きま〜す。」


きっと今日夢に見たような事は起こらないだろうし…もし仮に起こったとしても、まだ先の事だろう。
そんな事を考えていたらあいつらが居間に帰ってきた。


「じゃあ、英士君ちょっと上に鞄とか取りに行ってくるからお兄ちゃんと待っててね?」

「ああ、わかった。…一馬、おはよう。」

「はよ。」

「一馬がこんな時間に起きてるなんて珍しいね?」

「ちょっとな。」

「ふ〜ん。ま、どうでもいいけど。」


…どうでもいいって;;


「それよりさ、今日デートとか聞いてないぜ?…一言くらい言ってくれてもいいのによ。」

「別に言わなくてもいいでしょ?」

「そうだけど…。」

「英士君待たせてごめんね。」


険悪な雰囲気になりつつあった所にが支度を終えて入ってきた。


「あ、ごめん。話の邪魔しちゃったかな?」

「大丈夫だよ。そろそろ、行こうか?」

「うん!お兄ちゃん行ってくるね!」

「…あ、その前に一馬にあと一言。」


そう言って英士は俺の耳元でには聞こえないくらいの声で囁いた。


の初めては俺がもらうから。…これからもよろしくね、義兄さん?」

「っつ〜〜〜〜!??」

「ごめんね。今度こそ行こうか?」

「うん!お兄ちゃん、今度こそ行ってきます。」


呆然として立ち尽くす俺を残して二人は出かけて行った。


やっぱりあいつが彼氏だなんて認めねぇ!!!




あとがき?
我がサイトで一番書いているシリーズですが、実は今回数年ぶりに書きました。
5年ぶりくらいですかね?
サイトを立ち上げる前に書いていたものなので久しぶりに書けてたのしかったです^^
久しぶりに書いたら前にどんな書き方をしていたのかすっかり忘れてしまっていたので、少し雰囲気が変わってしまったかもしれません;;
こんな作品ですが、最後まで読んでくださりありがとうございますvv2007/12/20