「ねぇ、雪…。」

「あぁ、雪だな。」

今年の冬は比較的温かく雪があまり降らなかった。
いや、今年だけでなくここ数年暖冬が続いている気がする。

「光宏、雪ってさ、寂しいよね。」

「そうか?俺はむしろ温かいと思うけど?」

「だって、一瞬しか生きれないんだよ。溶けてしまえばみんなすぐに忘れてしまう。…人もそうなのかな…。」

「そんな事ないと思うけど?俺は今迄会った人のこと忘れてないし。」

いままで、親の都合でたくさんの転校を余儀なくされた。
最初のうちは頭にきて反抗的な態度をとった時もあった。
でも、今ではこの他の人からしたら恵まれないこの環境もよかったと思える。
別れがあるぶん出会いがある。
行った先々でたくさんの人に出会えるんだから。
他の人はこんなにたくさんの人に出会えないだろ?
それってすごい事なんじゃないかって思うんだ。

「それに…今日の雪だって忘れないさ。大切な人と一緒に居ればなんだって特別になるしな。」

そうだ…いつだって君がいれば特別に。

「うん、私も…私もいつまでも覚えているよ。」