「ねぇ、孝介…。阿部君って好きな人いるのかな…。」


ずっと一緒に同じ世界を見つめてきた。

これからもずっと一緒だと当然のように思っていた幼馴染。

この関係は壊れることなんてないと信じていた。

いや、信じていたかった…。

それなのにあいつが先に一歩進んでしまった事でいとも簡単に崩れてしまったのだ。

あいつが進めば俺も追い付くように一歩進む。

その関係は変わらないけれど、見ている世界が変わったのだ。



「なに?お前、阿部の事好きなわけ?」

「な、なに言ってるのよ?!」


そう言って焦る姿を見れば一目瞭然。


「しょうがないな。優しい孝介君がかわいい幼馴染のちゃんのために一肌脱ぎますか。」

「わぁ、ありがとう!、孝介君の事大好き!!」

「「…きもっ!!」」


俺たちは声を出しながら笑いだす。

だけど俺の心の中は今にも泣きだしそうだった。

今までみたいに俺とお前は同じスピードで進んでる。

初恋までもがほぼ同時期。

でも、なんでお前は阿部が好きなんだろうな。

お前に阿部の事が好き。

そう告げられた時に俺は気づいた。

あぁ、俺はこいつの事が好きだったんだ…。

今更気づいたところで遅いけれど。

この気持ちを告げたところで今まで築きあげてきたものが崩れてしまうのなら、俺はただ只管にこの気持ちを隠そう。

同じ世界が見れないならば、せめてあいつにとって幸せな世界を見せてやろう。


「絶対にうまくいかせてやるからな。…俺が、お前のことを幸せにしてやるよ。」

「…ありがとう。孝介がいるなら百万力だね!!」


そう言って笑うお前の顔はすごく輝いて見えた。

本当はずっとこれからも俺の手でお前のその笑顔を守りたかったんだ。

…その言葉は俺の胸の中にしまいこんで。










+++あとがき+++
これは誰夢なのでしょうか?
泉悲恋?阿部夢?う〜ん。書いている本人にもよくわかりません。
でもずっと書きたいと思っていたものではあります。
ありがちかも知れないですけどね。
私はどちらかと言うと会話中心で書いてしまうのですが、ずっと心象描写を中心に書いてみたかったのですよ。
難しかったけど、楽しかったです。

この作品はいつか続きを書きたいなぁと思っているものでもあります。
個人的にこういう泉君大好きです。
男前!!

ここまで読んでくださった様、ありがとうございます!!

2008/11/3