「翼…助けて。」
珍しくから電話があったかと思ったらいきなりそんなことを言われた。
今にも泣きそうな声で。
「?!今どこにいるの?!!」
「駅の陸橋。」
「わかった。そこで待ってろよ、今から行くから!!」
陸橋につくとは階段に座っていた。
「??どうしたのさ。」
「翼…良かった…。来てくれなかったらどうしようかと思ったよ。」
俺の顔を見ると安心したように笑った。
「で、急に俺を呼び出してどうしたの?見たところ助ける必要なんてまったくなさそうなんだけど?が助けてなんて言うから俺、これでも急いで来たんだけど?これで大した呼び出しじゃなかったらどうなるか分かってるよね?」
言葉ではこんなこと言ってるけど俺だってが無事で安心したんだ。
時々素直に伝えられない自分がもどかしくなる。
「翼、ありがとう。私のために急いで来てくれて。それでね…、陸橋から落ちて足捻っちゃって。」
「馬鹿。」
「ごめんなさい…。」
「心配させんじゃないよ。」
少し不貞腐れたように…今はこれが俺の精一杯の愛情表現だから。
「早く乗れよ。捻って歩けないんだろ?」
そう言って俺は少し屈んで背中を向ける。
「うん!!ありがとう、翼!!」
「しっかり掴まっとけよ?」
「うん。…ねぇ、翼。重くない??」
「俺だってくらい背負う事くらいできるんだよ。」
この背中に感じるぬくもりと共にあり続けることが出来れば。
まだ伝えることは出来ないけれど、いつか伝えてみせるから…。
その時は…
「翼…、あったかいね。」
「ああ…。」